アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎とはどんな病気なのかを、まずは理解しましょう。アトピー性皮膚炎の定義として、日本皮膚科学会では次のように決めています。

アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰返す、痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。」

アトピー素因:(1)家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)、または(2)IgE抗体を産生し易い素因。

なんだか難しいですが、アトピー性皮膚炎は、アトピー型気管支喘息、アレルギー性鼻炎、皮膚炎の蕁麻疹(じんましん)を起こしやすいアレルギー体質(アトピー素因)の上に、様々な刺激が加わって生じる痒みを伴う慢性の皮膚疾患と考えられています。

アトピー性皮膚炎の患者の約8割は5歳までの幼児期に発症します。今まではアトピー性皮膚炎は、学童期になると自然治癒すると考えられていましたが、成人まで持ち越す例や、成人してからアトピー性皮膚炎を発症・再発の例が近年増加しています。このことについては、人口密度や住宅環境の変化が要因であるとする声が多いですが、アトピー性皮膚炎の軽症患者の医療機関への受診が増えたことを指摘する意見もあります。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎の原因は、実は不明ですが、じんましんのような即時型アレルギーと遅延型アレルギーが複雑に関与すると考えられています。

アトピー性皮膚炎は、家族内発生がみられることや、他のアレルギー疾患(気管支喘息など)の病歴を持つ場合が多いことなどから遺伝的要因が関係していると考えられています。よって、皮膚が乾燥しやすいなどのアトピー素因を多くのアトピー性皮膚炎患者がもっていますが、これは炎症の結果ではなく、独立した要素であると考えることができます。

しかし、遺伝病のように特定の遺伝子が発症の有無を決定的に左右するものではありません。また、発展途上国に少なく、近代化にともなって数十年単位で患者数が増加していること、環境の変化によって急激に発疹・痒みの症状が悪化しやすいことなどの理由から、アトピー性皮膚炎の原因を遺伝的要因だけでは説明できないことも多く、環境要因も非常に大きいと考えることができます。

アトピー性皮膚炎の遺伝的要因

遺伝的に皮脂が非常に少ないことがアトピー性皮膚炎の原因と言われています。

アトピー性皮膚炎患者は、皮膚の一番表面の角層に存在する脂質であるセラミドが少ないという報告があり、セラミドの生成に関わる遺伝子が注目されています。

また、遺伝子の解析により、マスト細胞、好酸球にIgE抗体を結合させるレセプターや、サイトカインのうちアレルギーの炎症に関与するものの遺伝子が集中している遺伝子座がアトピー性皮膚炎と関連していることが明らかになっています。

アトピー性皮膚炎の環境要因

アトピー性皮膚炎には、多彩な非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関与して生じる可能性があり、以下のことが挙げられます。

・摂取する食物がアトピー性皮膚炎のアレルゲンとなっていることがあります(乳児期・学齢期に多い)。


・ダニ・ハウスダスト・鳥の糞といったアレルゲンが、アトピー性皮膚炎の悪化原因となっていることがあります。


・皮膚に常在している細菌の影響も考えられます。細菌が病変部位から進入すると、特異的な感染症を併発することが多いかったり、湿潤した病変部位は健常な皮膚よりも常在菌の数が多いことが知られています。これらの菌体成分により免疫応答が賦活化されることがアトピー性皮膚炎の症状の増悪の一因とする説もあります。


・ストレスもアトピー性皮膚炎に影響すると考えられています。進学・就職・職場の配置転換などを機会にアトピー性皮膚炎が悪化するケースが多く、ストレスにより掻破行動が増すことが原因のひとつです。自己を破壊する掻破行為がある種の快感を生み、患者がそれによりアトピー性皮膚炎の症状を悪化させるという説もあります。

2007.04.23.08:30 | Permalink | Track Backs (0) |

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